突然「もう行きたくない」と言われ、どう答えればいいか迷ってしまうことはありませんか。
続けさせるべきか、辞めさせるべきか、その判断はどのご家庭にとっても簡単ではありません。
この記事では、まず「なぜ辞めたいのか」を聞くことを出発点に、理由ごとの判断の目安と、辞めた後に親が取れる前向きな一手までをまとめました。
「辞め癖がつくかも」という不安への向き合い方も含め、一緒に整理していきましょう。
目次
子どもが「習い事を辞めたい」と言うのはよくあること
子どもから突然「辞めたい」と聞いて、「え、どうして?」と戸惑うのは自然な反応です。
しかし子どもにとっては、悩んだ末にやっと口にした言葉であることが多いものです。
栄光ゼミナールが2025年に実施した調査(小中高生保護者3,598人対象)では、「子どもが習い事を辞めたことがある」と回答した保護者が7割以上に上りました。
さらに、習い事を辞めるきっかけとして「子どもが辞めたいと言った」が最も多く挙げられています。
つまり、「辞めたい」と言い出す子どもは決して少数ではありません。
「うちの子だけ弱い」「育て方が悪かったのかも」と自分を責める必要はまったくないのです。
親が感じる「突然」は、子どもが内側で抱えてきた気持ちが、ようやく言葉になった瞬間かもしれません。
まず「なぜ辞めたいのか」を聞くことから始める
「続けなさい」も「いいよ、辞めて」も、子どもの言葉を受け取ってすぐに返すのは待ってください。
最初の一言よりも、まず話を聞くことがすべての出発点です。
「何かあった?」「最近、どんな気持ちで通ってた?」と静かに問いかけてみてください。
コーチに叱られた、友達とケンカした、発表会が近くて緊張しているなど、一時的な出来事が引き金になっているケースは少なくありません。
話を聞いてもらえるだけで気持ちが落ち着き、「やっぱり続けたい」と気持ちが変わることもあります。
親子イベントの現場で数多くの親子を見てきた立場から言うと、子どもが「辞めたい」と発言する背景には、習い事そのものへの嫌悪ではなく、その日の出来事や一時的な疲れが重なっているケースが多いと感じています。
一週間後に同じことを聞いてみると、子ども自身がケロッとしていることもあります。
もし子どもがうまく話せないようであれば、先生やコーチに様子を確認してみる方法もあります。
「最近ちょっと元気がないようで……」と伝えるだけで、先生側が子どもへの接し方を変えてくれることもあります。
辞めたい理由によって対応は変わる
子どもが話してくれた理由によって、取るべき対応は変わってきます。
大きく4つのケースに分けて考えてみましょう。
① 先生・コーチとの相性が合わない
習い事の内容は嫌いではないが、先生が怖い・合わないというケースです。
この場合、習い事そのものをやめる前に、曜日変更・別の教室への移籍を検討してみてください。
「先生を変えたら楽しくなった」という声は、現場でも珍しくありません。
② 友人関係のトラブルがある
同じクラスの子との関係が原因の場合も、同様にクラスや曜日を変えることで解決できる場合があります。
子どもは「辞めたい」と言っていても、本当はその習い事自体は好きだということも多いので、まず環境の変更を試してみる価値があります。
③ 上達しない・結果が出ないと感じている
頑張っているのに結果が見えないとき、子どもは急に意欲を失うことがあります。
そんなときは「次の発表会まで」「次の級に合格するまで」と小さな節目を一緒に設定してみてください。
目標が見えると、もうひと踏ん張りできることがあります。
④ 飽きた、他にやりたいことができた
これは子どもの成長のサインです。
新しいものへの興味が芽生えたということは、好奇心が旺盛に育っている証拠でもあります。
このケースでは、今の習い事のほかに何個の習い事を抱えているかも確認してみてください。
複数の習い事を同時にこなすことで疲れていないか、生活全体のバランスを見直す機会にもなります。
「辞め癖がつく」は本当?親が知っておきたい考え方
「辞めグセがついたらどうしよう」という不安は、多くの親が抱えるものです。
ただ、この「辞め癖」という言葉には、根拠が薄いと指摘する専門家が複数います。
教育評論家の親野智可等氏は「辞め癖は迷信」と明言しており、「10個辞めても11個目に合うものが見つかれば続けられる」という考え方を示しています。
発達心理学の観点からも、「辞めたい気持ちのまま続けるのは逆効果」という立場が専門家から示されています(早稲田大学・小塩真司教授)。
大切なのは「続けたかどうか」ではなく、「子ども自身が選んだかどうか」です。
いくつかの体験を経て、その中から自分で選んだものは、ぐっと長続きします。
逆に、親が押しつけた習い事を嫌々続けることは、子どもの自己肯定感を静かに傷つけるリスクがあります。
「あなたに合わなかっただけで、チャレンジしたことはよかった」という一言は、次への一歩を後押しする言葉になります。
辞める経験を「失敗」として記憶させるか、「選択した経験」として記憶させるかは、親の声がけ次第です。
辞めた後が大事。「次の体験」を一緒に探してみる
習い事を辞めた後の過ごし方は、意外と見落とされがちなポイントです。
「辞めたからいいよ」で終わると、その後ゲームやゴロゴロだけの時間が続いてしまうことがあります。
でもそれは、辞めた結果ではなく、次の体験への橋渡しが不足しているだけです。
もし子どもが「他にやりたいことがある」と言っているなら、その気持ちをできるだけ早く動かしてあげてください。
子どものやる気は、時間が経つほど薄れていくことがあるからです。
一方、まだ「何がやりたいかわからない」という場合は、すぐに次の習い事を決めなくても大丈夫です。
単発の体験イベントやワークショップから試してみる選択肢があります。
週1回の固定習い事よりも気軽に参加できるため、子どもが「やってみたい!」という感覚を取り戻しやすいのが特長です。
弊社イベントプラスでは、累計4,000件以上の親子向けイベントを運営してきました。
その現場で、こんな場面を何度も目にしてきました。
ダンスを習っていた子がやめた後、発表の場として単発のダンスイベントに参加し、その場で改めて「やっぱりダンスが好き」と気づいて教室に戻ったケース。
絵画のワークショップに初めて参加した日に、親御さんが「こんなに集中して絵を描く姿は初めて見た」と涙ぐんでいたケース。
工作イベントで黙々と手を動かし続ける我が子を見て、「この子、こんな才能があったのか」と驚いた親御さんの話。
単発の体験は、「次にやりたいこと」を子ども自身が発見できる場になります。
習い事の辞め止まりにせず、ぜひ次の扉を一緒に開けてみてください。
まとめ:子どもの「辞めたい」は次の一歩へのサイン
子どもから「辞めたい」と言われたときの対応を、3つのステップで整理します。
① 話を聞く ── まず「どうして辞めたいの?」と聞く。答えを急がない。
② 理由で判断する ── 一時的な感情か、本音かを見極め、環境変更・目標設定・継続・辞めるの選択肢を検討する。
③ 辞めた後の体験を探す ── 単発のイベントやワークショップを活用して、次にやりたいことを一緒に見つける。
続けさせることが正解ではなく、子ども自身が選んだことが大切です。
辞めたことは失敗ではなく、次の体験への出発点になります。
まずは今日、子どもに「どうして辞めたいの?」と聞いてみるところから始めてみてください。










