子どもに怒鳴ってしまった夜、布団の中で「またやってしまった」と落ち込んだことはありませんか。
SNSを開けば「これはNG」「正しい叱り方」という情報があふれていて、わかっているのに実践できない自分をさらに責めてしまう。
そんな悪循環に疲れているなら、この記事はそんなあなたに向けて書きました。
「正しい方法」を教える記事ではなく、今日少し楽になるためのヒントとして読んでみてください。
私たちイベントプラスは、これまでに4,000件以上の親子向けイベントを企画・運営してきました。
工作・料理・動物ふれあい・アートなど、さまざまな場面で3〜9歳の子どもたちの動きを間近で見続けています。
現場で繰り返し観察してきたのは、子どもが「動かなくなる」場面の多くは「飽きた」「疲れた」「別のことがしたくなった」というサインだということです。
目次
「また怒ってしまった」と落ち込んでいるあなたへ
子どもを怒鳴ってしまう親は、子どもに無関心な親ではありません。
「ちゃんと育てたい」「よくなってほしい」という気持ちがあるからこそ、思い通りにいかないときに感情が出てしまうのです。
怒ってしまうこと自体が、子どもと真剣に向き合っている証拠でもあります。
SNSには「これをやったらダメ」「こう言うと子どもが傷つく」という情報が毎日のように流れてきます。
知識として読めば納得できる内容でも、実際の育児の現場は疲れていて、時間がなくて、余裕がない状態です。
「わかっているけどできない」は、あなたの意志が弱いのではなく、置かれている状況が難しいということです。
完璧な親はいません。
この記事では、正解を押しつけるのではなく、今日の夕方から少しだけ試せる声かけのヒントをお伝えします。
子どもが言うことを聞かないとき、何が起きているのか
「何度言ってもわかってくれない」と感じる場面は、どのご家庭にもあります。
ただ、子どもが動かなくなったり、指示を無視したりするとき、そこには必ず子ども自身の「理由」があります。
大人の目には「指示を無視している」と映っても、子どもの側からすると「今は違うことがしたい」という気持ちが体を動かしています。
子どもはまだ、自分の気持ちをうまく言葉にできません。
だからこそ、行動で示すしかないのです。
「こうしなさい!」という命令を重ねる前に、まず子どもの状態を見ることが入口になります。
「何をしたいのか」「今どんな気持ちなのか」を知ろうとする姿勢が、状況を動かす最初のステップです。
現場で実際に使ってきた声かけの流れ
「気持ちに寄り添う」と言っても、具体的にどうすればいいかわからない、という方に向けて、現場で実際に使ってきた声かけの流れをご紹介します。
ステップ1:気持ちに名前をつけて受け止める
まず、子どもの状態を言葉にして返します。
「飽きちゃったんだね」「疲れちゃったのかな」というひとことです。
これは同意でも許可でもなく、「あなたの気持ちをわかっているよ」というサインです。
子どもは自分の気持ちを受け止めてもらえると、次の言葉が出やすくなります。
ステップ2:次にしたいことを聞く
「次は何をしたいの?」と聞いてみます。
答えられなくてもかまいません。
大人が決めつけるのではなく、子どもが自分の気持ちを話せる場をつくることが目的です。
「走りたい」「外に行きたい」「ジュースが飲みたい」——どんな答えでも、まず受け取ります。
ステップ3:子どものやりたいことにさらに寄り添う
子どもの言葉を否定せずに、もう一歩踏み込みます。
「ずっと座ってたら、おしりが痛くなるよね」「そりゃ動きたくなるよね」という言葉です。
ここで子どもは「この人はわかってくれている」と感じます。
ステップ4:やりたいことと今やることをつなぐ
最後に、「これだけ終わらせてから、走ろうか!」「あと少しやったら、外に行こう」という形でつなぎます。
命令ではなく、子どもの希望を出口として示すことで、「今やること」が苦痛ではなくなります。
現場エピソード
工作イベントで、5歳の男の子がハサミを置いて動かなくなった場面がありました。
スタッフが「飽きちゃった?」と声をかけると、男の子は小さくうなずきました。
「次は何したい?」と聞くと、「走りたい」とぽつりと言いました。
「そっか、ずっと座ってたもんね。あとここだけ切ったら、廊下で少し走ってこようか」と伝えると、男の子はハサミを持ち直して、残りの工程を自分で終わらせました。
叱ることも急かすこともなく、その子の気持ちを聞いてつなぐだけで、状況は自然に動いたのです。
「してはいけない声かけ」より「してみたい声かけ」
SNSや育児書には「これはNG」という情報が多く出ています。
ただ、NGリストを頭に入れれば入れるほど、「また間違えた」という自己嫌悪が増えやすくなります。
「終わるまで動いちゃダメ!」「何度言ったらわかるの!」という言葉が逆効果になる理由のひとつは、子どもがその言葉の「圧」を感じて、耳をシャットダウンしてしまうことです。
叱られ続けると、子どもは内容を聞くより自分を守ることに意識が向きます。
だからこそ、NGを避けようとするより、「代わりに試せる言葉」を持っておくことが実践的です。
試してみてほしいのは、質問の形です。
「〜したいの?」「さっきどうだったの?」という問いかけは、子どもが自分の気持ちを言葉にするきっかけになります。
答えが返ってきたとき、まずその言葉を受け取ることで、子どもは「話してよかった」と感じます。
大人が先に答えを決めず、子どもが自分の気持ちを話せる場をつくる。
そのひとことが、怒鳴らなくてもいい場面を少しずつ増やしていきます。
怒ってしまった後にできること
声かけの流れを頭でわかっていても、疲れている日、余裕がない日は、どうしても感情が先に出てしまいます。
それは当然のことです。
大切なのは、怒ってしまったあとにどうするかです。
子どもに素直に謝ることは、謝り方を見せることでもあります。
「さっきは大きな声になっちゃったね、ごめんね」というひとことでじゅうぶんです。
長い説明も反省の言葉も必要ありません。
短く、はっきりと伝えるだけで、子どもには届きます。
親が謝る姿を見た子どもは、自分が失敗したときに「謝ってもいいんだ」と感じます。
怒鳴ってしまった場面が、子どもの学びの場になることもあります。
完璧な親を目指す必要はありません。
「少しずつ積み重ねていく」というスタンスで、昨日よりひとつだけ試してみる。
そのくり返しが、親子の関係をつくっていきます。
まとめ
「まず寄り添う」というひとつの姿勢が、怒る前に立ち止まるきっかけになります。
「飽きちゃったんだね」というひとことから始まる声かけの流れは、特別な知識がなくても、今日の夕方から試せます。
自分を責めすぎず、できたことを少しずつ積み重ねていくことが、親子の関係をつくる確かな一歩です。
まずは今夜、子どもの言葉をひとつだけ、最後まで聞いてみるところから始めてみてください。










