日本の伝統的な発酵食品である味噌は、古くから日本の食文化に根付いており、独特の風味と栄養価の高さから、多くの料理に活用されています。味噌の魅力は、シンプルな材料を使いながらも、発酵によって生み出される深い旨味や香り、そして時間の経過とともに変化していく味わいの豊かさにあります。
そんな味噌を手作りすることで、原料の選び方や発酵の過程を自分好みに調整できるため、市販の味噌にはない個性や独特の風味を楽しむことができます。また、無添加で安心な味噌を作ることができるのも大きな魅力のひとつです。手作りの味噌は、作る楽しさだけでなく、出来上がるまでの時間を待つことで、発酵食品ならではの奥深さを実感することができます。
今回は、そんな魅力的な味噌を自宅で手軽に作る方法についてご紹介します。初心者の方でも安心して取り組めるよう、必要な道具や材料、基本的な手順を詳しく解説していきます。
出典:photoAC
必要な道具
味噌づくりには、以下の道具を用意するとスムーズに進められます。
・大きめの鍋
大豆をじっくり煮るためのもの。
・ザル・ボウル
大豆の水切りや麹・塩を混ぜる際に使用。
・すり鉢・マッシャー
煮た大豆を潰すための道具。
(大きめのビニール袋に煮た大豆をいれて手で潰しても良し)
・計量器
塩や麹の分量を正確に測るために必要。
・保存容器(甕やホーロー容器、食品用プラスチック容器)
味噌を発酵させるための容器。
・重石
発酵中に空気が入らないようにするためのもの。
(二重にしたビニール袋に塩を平らになるように入れて代用も可能)
・ラップや和紙
保存容器の表面を覆い、雑菌が入るのを防ぐ。
味噌の基本材料
味噌の主な材料は、大豆、麹、塩の3つです。
これらを発酵させることで、旨味たっぷりの味噌が完成します。
・大豆
たんぱく質が豊富で、発酵によって甘みとコクが生まれます。
・麹
米麹、麦麹、豆麹があり、種類によって風味が変わります。
・塩
発酵を調整し、味を引き締める役割があります。
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味噌の種類
味噌にはさまざまな種類があり、使用する麹や塩分の割合によって味わいが異なります。
・米味噌
米麹を使った味噌で、日本全国で広く作られています。甘口から辛口まで種類が豊富。
・麦味噌
麦麹を使った味噌で、九州地方や四国地方でよく食べられます。甘みがあり香ばしい風味が特徴。
・豆味噌
大豆のみを発酵させた味噌で、八丁味噌が代表的。濃厚なコクと渋みが特徴。
・白味噌
大豆のアクを取り除いたあと、麹を加えて数日から数ヶ月熟成させる。甘みが強い味噌。
・赤味噌
大豆を蒸したあと、常温で半年から1年程度熟成させるため、発酵期間が長い。旨味が凝縮された濃厚な味わいの味噌。
<配合による種類>
一般的に麹が多く塩が少ないと甘口になり、逆に塩が多く麹が少ないと辛口味噌になります。
今回は、基本的な味噌づくりのご紹介をしますが、自分で材料の種類や割合を調節して、自分好みの味噌づくりに挑戦してくださいね。
味噌づくりの基本手順
①大豆を洗って浸水
大豆をよく洗い、一晩(約12時間)水に浸します。大豆は水を吸収して膨らむため、たっぷりの水を使いましょう。
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②大豆を煮る
浸水した大豆を鍋に入れ、たっぷりの水を加えて火にかけます。沸騰したら弱火にし、アクを取りながら2〜3時間煮ます。指で簡単につぶせるくらいの柔らかさになったら火を止め、湯を切ります(煮汁は後で使うので取っておきましょう)。
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③潰す
煮た大豆をすり鉢やマッシャーでしっかり潰し、ペースト状にします。フードプロセッサーを使うと手早く均一になります。道具がない方は、煮た大豆を大きめの袋に入れて輪ゴムでとめ、手で潰すことで代用可能です。
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④麹と塩を混ぜる
米麹(または麦麹・豆麹)と塩をボウルに入れ、均一に混ぜます。この工程を「塩切り麹」といい、発酵のバランスを整えるために重要です。
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⑤大豆ペーストと混ぜる
潰した大豆に塩切り麹を加え、全体をしっかり混ぜ合わせます。固すぎる場合は、取り分けた煮汁を少しずつ加えながら調整し、耳たぶくらいの硬さにします。
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⑥仕込む
味噌玉を作り、空気を抜くように保存容器に詰めていきます。すべて詰めたら表面を平らにならし、カビ防止のために塩を振り、ラップや和紙で覆います。
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⑦発酵・熟成
容器の上に重石をのせ、冷暗所で6か月〜1年以上寝かせます。発酵が進むと色や香りが変化し、熟成が進むほど深い味わいになります。また、二重にしたビニール袋に塩を入れたものを平らになるように味噌の上に敷くことで、重石の代わりになります。
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味噌の熟成期間と保存場所
味噌の熟成には6か月から1年以上かかります。温度や湿度によって発酵の進み方が変わるため、適切な保存場所を選びましょう。
・夏場
気温が高くなりすぎると発酵が進みすぎてしまうため、涼しい場所や冷暗所(例:床下収納や押し入れ)に置くのが理想的。
・冬場
発酵がゆっくり進むため、暖房のない部屋や、屋内の温度が比較的一定の場所に置くとよい。
・一年を通して
直射日光が当たらず、温度変化が少ない場所が最適。冷蔵庫に入れると発酵が止まるため、常温保存が基本。
カビについて
味噌の発酵・熟成中に、表面にカビが発生することがあります。これは仕込み時に入り込んだ空気や湿度の影響によるもので、適切な管理をすれば防ぐことが可能です。
<カビの予防方法>
・仕込み時の清潔さを保つ
道具や手をしっかり洗い、雑菌が入らないようにする。
保存容器を熱湯消毒やアルコール消毒しておく。
・表面に塩をふる
味噌の表面に均等に塩をふることで、雑菌の繁殖を防ぐ。
・ラップや和紙で密閉する
空気に触れる部分を減らすため、味噌の表面にラップや和紙を直接押し当てる。
・重石をしっかりのせる
味噌に空気が入らないように、しっかりと重しをのせて発酵を安定させる。
・適切な保存場所を選ぶ
高温多湿を避け、風通しの良い冷暗所で熟成させる。
<カビが生えてしまった場合の対処>
・白いカビ(産膜酵母)の場合
産膜酵母は害がなく、発酵の過程で自然に発生することがあります。
気になる場合は、取り除いても大丈夫です。
・青カビや黒カビが発生した場合
カビが生えた部分をスプーンや清潔なヘラで丁寧にすくい取ります。取り除いた後、味噌の表面に塩をふり、再びラップや和紙で密閉しましょう。
・味噌全体に異臭や異常な変色がある場合
発酵がうまく進んでいない可能性があるため、食べずに処分したほうが安全です。
適切な管理を行えば、手作り味噌は安全に美味しく仕上がります。発酵食品ならではの自然な変化を楽しみながら、味噌づくりに取り組んでみてくださいね。
まとめ
味噌づくりは、シンプルな材料と手間をかけることで、深い味わいのある発酵食品を作り上げる楽しみがあります。発酵と熟成を経ることで味が変化し、作りたてのフレッシュな風味から、時間とともに深みが増していく過程を体験できるのも、手作り味噌ならではの魅力です。
また、家庭で作ることで、添加物のない安心・安全な味噌を楽しむことができ、自分好みの塩加減や麹の種類を選んでアレンジすることも可能です。さらに、家族や友人と一緒に仕込むことで、味噌づくりの時間そのものが特別な思い出になるでしょう。
ぜひ、今回の手順を参考に、自分だけのオリジナル味噌づくりに挑戦してみてください。発酵の奥深さを感じながら、手作りの味噌で食卓をより豊かにしていきましょう。
出典:photoAC
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