日本の水道水は世界の中でも、安全で水質が良いと言われています。
しかし東京の水道水となると「何だか美味しくなさそう」「沸騰させないと不安」と気になる人も多いのではないでしょうか。
ただ毎回水道水を沸かしたり、ミネラルウォーターを購入したりするのは、お金もかかり大変ですよね。
水道水をそのまま飲めたら利便性が大きく向上します。
そこで今回は、東京の水道水を飲用水とした時の「安全性・美味しさ」について、徹底調査しました。
そのまま飲んで大丈夫なのか、スッキリ解決させましょう!
目次
東京の水道水は飲めるの?「そのまま飲む」人は半数!
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水道水を沸騰させずに、そのまま飲む人はどのくらいいるのでしょうか。
東京都では毎年、一般家庭や事業所に訪問し、水道水に関してのアンケート調査を行っています。
飲み方に関してのアンケート(28018人に実施)では、半数もの人が「水道水をそのまま飲む」と回答しています。
「水道水は飲まない」という人は、14%程でした。
しかし年代ごとにバラつきがあり、30代でそのまま飲む人は32.8%と一番少なく、60代以上では、そのまま飲む人は多くなる傾向になっています。
出典:2019年 東京水道あんしん診断お客さまアンケート報告書
東京の水道水は「飲用水」として問題なし!2つの理由
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日本では、飲めない水道水はありません。なぜかというと日本の水道水は、国が定めた厳しい基準で徹底管理されているからです。
もちろん東京でも、国の基準に従って水道水を管理しています。清潔な水をつくるために、施設もきちんと整備されています。
安全面だけではありません。水道水には体内の働きをサポートする、カルシウムやカリウムなどの「ミネラル」だって含まれています。
次に東京の水道水が安全といえる2つの理由を詳しく見てみましょう。
1.こんなにある!水道水の水質基準
水道水は貴重なライフラインです。水道水を飲んでお腹が痛くなったら大変ですよね。
水道水には厚生労働省が制定した「51項目の水質基準」があります。
この基準はWHOの飲料水のガイドラインなどを参考につくられました。
51項目にはそれぞれ基準値があり、それらを遵守すること、定期的に検査を行うことが義務付けています。
水質基準は2つの項目に分けられます。
・健康に関する項目(31項目)
一般細菌・水銀・トリハロメタンなど、人の健康に大きく関係している項目です。
例えば大腸菌は検出されないこと、水銀に関しては0.0005mg/L以下など基準を満たすことが徹底されています。
人が生涯飲み続けても健康に影響しないこととして決められています。
・生活上の支障に関する項目(20項目)
味やニオイなど、水道水を美味しく飲めることを基準に設けられています。
濁りなどの見た目についても、定期的にチェックが行われています。
その他にも「水質管理目標設定項目」「要検討項目」があり、水道水は日々厳重に管理されています。
2.高度浄水処理場で、より安全な水に
2013年に東京の対象エリア全てで「高度浄水処理場」が完成しました。
高度浄水処理場では、「オゾン処理」と「生物活性炭吸着処理」を行い、水道水をより清潔な水に変化させています。
抗酸化に優れたオゾンの力と、吸着力に優れた活性炭を使用することで、水の中に残るごく微量の有害物質やイヤなニオイや有機物をほぼ除去できるようになりました。
浄水を徹底することで、飲用水としても問題がない、安全でおいしい水になったといえます。
みんなが気にする懸念点!有害物質は本当に入っていないの?
東京の水道水が適切に管理されていたとしても、有害物質は微量でも入っていないのか、気になりますよね。
環境にもよりますが、水道水に有害物質が混入してしまうこともあります。
有害物質が混入してしまう原因、どんな有害物質があるか確認しましょう。
水道水に有害物質が混入してしまう原因
蛇口をひねれば、いつでもどこでも「同じ水道水」が飲めるとは限りません。
水道水に有害物質が混入してしまう主な原因です。
・配水管の老朽化や劣化
・給水器具の異常
・貯水槽での問題
貯水槽は、アパートやホテルなどで水をストックしておくためのものです。
いくら清潔な水がつくられていても、設備の劣化や、貯水槽で問題があれば、異物が混入してしまう恐れがあります。
水道水には、どんな有害物質が含まれる?
水道水に混入しやすいものはどんなものがあるでしょうか。
・トリハロメタン
浄水施設で塩素殺菌を行う際に発生してしまう物質で、発がんなどの原因になるとされています。
東京ではWHOの基準値より厳しい値で制定されていますが、基準値以下で混入してしまうこともあります。
・サビ
1960年頃は鉄の水道管を使用していたため、蛇口をひねるとサビが出ることがありました。
現在は本樹脂コーティングを行っているため、サビは出にくくなっています。
ただ古い水道管を使用している場合は、サビが混入している可能性もあります。
・放射能
2011年の東日本大震災後、数日間だけ放射能物質が検出されていました。
2011年以降は、検出していないと報告されています。
放射能物質は発がんや白内障などの原因になります。
基本的にはこれらの有害物質は浄水の過程で、適切に除去されています。
東京の水道水はどこから来る?安全性を詳しく知りたい!
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東京の水道水について安全性をさらに詳しくみていきましょう。
東京の水道水は約8割が利根川近郊から汲んできています。
以前は東京の水道水は安全ではなかった?
1960年代から80年代にかけて、高度経済成長期で工場が増え、全国的に水が汚れた状態でした。
東京でも工場が密集し、汚染された水が河川に流入することもありました。
現在のような浄水能力はなく、水道水は清潔な水とは言えない時期があったのです。
現在の東京都の3つの取組み
浄水力が大幅に向上した、東京都の具体的な取組みを調べました。
水道水は水源・浄水場・蛇口を経て運ばれますが、それぞれのポイントでしっかり管理されています。
・水源
東京近郊の河川など約70か所の調査地点で、定期的に検査を行い水質を確認しています。
また水質等の異常を早期発見するため、水質試験車を使った定期的なパトロールを行っています。
・浄水場
安全な水道水をつくる浄水場では、機械による水質測定や監視や水質検査など、各工程で水質をチェックしています。
また水質の変化に合わせて薬品を入れる量をコントロールするなど、日々の水質管理を行っています。
・蛇口(給水栓)
都内100ヶ所以上の蛇口に設置された自動水質計器では、残留塩素などを常時監視しています。
定期的に採水し、詳しい検査を実施しています。
東京の水道水は美味しいの?
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東京の水道水の美味しさについて確認しましょう。
東京都で飲み水としての水質の満足度調査を行ったところ、満足・やや満足と答えた人を合わせて約7割もの人がよい印象を持っていると回答しています。
他の地域ではどうでしょうか。米どころとして水源にも恵まれている新潟市での同様のアンケートでは、
「満足」「やや満足」と答えた人の割合は約6割の結果でした。
東京の水道水は美味しい水であることが分かります。
出典:2019年 東京水道あんしん診断お客さまアンケート報告書
ミネラルウォーターとの飲み比べ
東京の水道水と、ミネラルウォーターでどちらが美味しいか飲み比べを行ったところ、約半数の人が「東京の水道水が美味しい」と回答しています。
東京の水道水が販売されている
【お知らせ】東京国際フォーラムに設置しているボトルディスペンサー式水飲栓にのぼりを設置しました!無料で美味しい水をペットボトルや水筒にくむことが出来るので、是非ご利用ください。 #無料 #東京水道 #安全な飲料水 #東京都 #水道水 #フォーラム #有楽町https://t.co/C3LaVWEm14 pic.twitter.com/HEQd4t5SKJ
— 東京都水道局 (@tocho_suido) May 1, 2018
高度浄水処理した水道水をペットボトルに入れて「東京水」として販売しています。
庁舎内や東京駅のお土産センターで販売されています。製造過程で塩素を除去しているのでカルキ臭がなく、飲みやすいと評判です。
そして東京都内800箇所に「東京水」が飲めるボトルディスペンサー式水飲栓があります。
無料で飲めるので、マイペットボトルを持って出かけてみましょう。
データで見る!東京の水道水の特徴は
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東京の水道水の安全性・美味しさについて分かりましたが、全国の水道水と比べてどう違うのでしょうか。
東京の水道水の硬度
硬度とは水の中にとけている、カルシウムとマグネシウムの含有量のことを差します。
硬度が高いとクセがあり味わい深くなります。硬度が低いとまろやかで口当たりの良い味わいになります。WHOの基準では120mg以下が軟水とされています。
・東京60mg前後
・大阪40~50mg
・長野45mg前後
東京の水道水は中等度の軟水に分類され、わずかにクセがありキリッとした味わいといえるでしょう。
東京の水道水の水温
水温は美味しさを決める一つ。
美味しい水の基準は、年間で20℃以下との基準を設けています。
東京の水道水の水温は年間を通して前後しますが、平均は16.8 ℃となっています。
美味しい水の基準をクリアしています。
東京の水道水はまずいって噂もある?考えられる3 つの原因
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そのまま飲めて美味しい東京の水道水ですが、「独特なニオイ・味がする」と気になる人もいるようです。
水道水がまずいと感じてしまう、主な原因をまとめました。
1. 塩素が残留している
水道水を飲んで、プールに入った時のような独特なニオイを感じたことはないでしょうか。
「カルキ臭」といわれるもので、消毒処理で使用する塩素が、独特なニオイの原因になっています。
塩素は人が飲んでも問題ない、安全な数値で注入されていますが、気になる人もいるでしょう。
2 . 貯水タンクや配管の汚れ
アパートやマンションでは貯水槽が使用されています。
貯水槽が不衛生だったり、異物が混入していたりすると、悪臭の原因になります。
また水道が運ばれる配管が汚れていたり、老朽化している場合は、サビ臭さを感じてしまうこともあるかもしれません。
3. 水道水の温度
人が水を美味しく感じる温度は20℃以下、15℃前後が特に美味しく感じるとされています。
ですが季節の変化によって、水温は大きく前後することも。
いくら清潔な水でもぬるかったり、極端に冷たかったりすると美味しさは感じにくくなります。
安心して美味しい水が飲みたい!6つの方法
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毎日飲むものは安心なものが良い、水を美味しく飲む6つの方法をまとめました。
・煮沸する
水道水はそのまま飲んでも問題ありませんが、不安な人は水道水を沸騰させて使いましょう。
10分以上加熱すると、水道水に含まれるトリハロメタンの除去に効果的です。煮沸によって塩素の除去もできますが、長期間の保存には不向きです。
・レモンを入れる
ビタミンCには、塩素を分解する効果があります。
カルキ臭が気になるという人は水道水にレモンを浸してみましょう。
ただ塩素を分解することで、雑菌がわきやすくなるので早目に飲むことが重要です。
・浄水器
浄水器は蛇口や配管に取り付け、フィルターを利用して水道水をろ過します。
便利さがある反面、定期的なメンテナンスが必要になること、温度調節が出来ないことが気になる点です。
塩素を除去するので、長期間の保存が出来なくなるのも注意が必要です。
また貴重なミネラルまで、取り除いてしまう浄水器もあります。
<コラム 純水は実は危うい!?>
これは高密度のフィルターで不純物を徹底的に取り除いたものとされています。
強力なフィルターを用いた浄水器や水道直結型のウォーターサーバーには注意が必要です。
あまりにきめ細かいフィルターだと水に含まれる、ミネラルまで除去してしまうからです。
WHOのレポートでは、ミネラルを含まない水を飲むことは、骨折のリスクや疾病など健康被害につながる恐れがあると報告しています。
・市販のミネラルウォーター
ミネラルを含んだ美味しい水はスーパーで手軽に購入できます。
持ち運ぶのが大変という人には、定期便で注文ができるサービスもあります。
気になる点は野菜を洗ったり、温かくして使用したりするのが難しいことです。
またストックする場所が必要になります。
・ウォーターサーバー
水の宅配便です。
日本での導入率は約7%程度ですが、アメリカでは約50%がウォーターサーバーを導入しています。
アメリカでは水道水に厳しい基準が設けられていますが、導入率が高い背景には、健康意識が高いこと、水道水への信頼性が低いことが考えられています。
ウォーターサーバーの気になる点は、毎月のコストがかかること、設置場所が必要になることです。
魅力的な点は、新鮮で美味しい水が届く、重い水を持ち歩く必要がない、温水をすぐ使用できる点です。
小さなお子さんがいる家庭や、より安心して美味しい水を飲みたい人にウォーターサーバーは選ばれています。
東京の水道水はそのまま飲めるの?まとめ
東京の水道水は水質基準のもと、厳重に管理されており「そのまま」飲んでも問題ありません。
美味しさに関しても定評があります。
ただ使用する環境や時期によっては「マズイ」と感じることもあるかもしれません。
生活に欠かせない水は、毎日を快適に過ごすためにとても大切です。
美味しい水を飲む方法は色々とありますので、ライフスタイルに合うものを取り入れていきましょう。
※参考資料
厚生労働省「水質基準項目と基準値(51項目)」
神奈川県衛生研究所「水道水の水質基準について」
新潟市「水道に関するアンケート調査」
東京都「水道・くらしのガイド」
おいしい水研究会
WHO「DEMINERALISED WATER(脱塩水)のリスク」
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